羽田空港が24時間営業*だということはあまり知られていません。空港のターミナルというのは、フライトまで時間のできてしまった旅客が滞留できるようになっているんですね。

チケットを持たずに入れる一般エリアに限っても、東京の海のほう特有のゆったりとした建築空間に、あり余る数のベンチが設置されています。
つまり、そこら中で寝れる。
*国際線エリアのみ



せっかくなので、私はしばらく羽田空港を住むために攻略してみることにしました。
その日から毎日別の場所で就寝し、寝心地を記録すること実に20日。中でもおすすめの寝場所をいくつか挙げましょう。



夜間に開いているのは国際線エリアのみなので、基本的には第3ターミナル(3タミ)で寝ることになります。1~3・5階に同じ黒いベンチが大量にありますが、中でも2階の駐車場連絡通路には充電しながら寝られる(充電ポール隣接、かつ肘掛けなしタイプ)8脚中4脚が集中しています。充電しないなら、静かさ・暗さで一段上の5階がおすすめ。






実は国際線エリアは第2ターミナルにもあります。というか、この間できたようです。もちろん24時間で、ベンチも十分あります。開放感と内装の眩しさ、見た目より堅いクッションがネックですが、清潔感ではピカイチです。






昼夜逆転すれば国内線エリアでも寝られます。そこまでする価値が第2ターミナルの黒いソファにはあるかもしれません。ただし、昼間にガッツリ寝ていると警備員に起こされることがあるので、寝姿勢は工夫しましょう。




■ ダイニング

羽田空港にはおおよそ全てのジャンルの飲食店があります。とはいえ毎食外食になるので、下手をすると普通に家賃を払うより高くつきます。毎日の食事には、以下のようなコスパの良いチェーン店を利用しましょう。




カロリー/円の最高値はリンガーハットの無料麺2倍でしょう。他にも丸亀製麺、SUBWAY、Vie De France(パン屋)、各種定食屋など、1食1000円以下縛りのもとでも20店舗ほど回ることができました。コンビニエンスストアも各ターミナルにあるので、おやつや飲み物にも困ることはありません。




■ リビング

羽田空港には全ターミナルでフリーWi-Fiが飛んでおり、実質無制限にネットが使えます。また、コンセントが使える場所も各所にあるので、スマホやパソコンがあれば快適な時間を過ごせます。特に愛用していた空間は以下の3つ。






図書館感覚で座り読みができ、自習やパソコン作業のみの使用も可、隣のスタバのコーヒーも持ち込み可という、文句のつけようがない最高の作業スペース。ちなみに店前にもかなりおしゃれな充電カウンターが伸びています。






「ベッドルーム」でも紹介した、充電ポール付きベンチ。夜間に使えないだけで、実は1タミにもあります。こちらにはテレビもあり、ゴロゴロしながらゆるく過ごすのに最適です。






コンセントこそありませんが、こんな気の利いた空間もあります。3タミで買い食いするときはいつもここに持ち込んで、優雅に風呂敷を広げていました。満腹になったら、デッキへ飛行機と海を見に行きましょう。




■ 住めた…?



というわけで、羽田空港というのはクソでかい家だったんですね。
数百基のトイレは毎日掃除されているし、有料ながらシャワールームも数ヶ所あります。1タミ併設のカプセルホテルにステイすれば洗濯もできます。ATMはもちろん、郵便局や薬局、クリニック、理髪店まであります。念の為ですがプリクラもあります。荷物ならコンビニで受け取れるし、ゴミ箱に至っては1mおきに設置されています*。つらかったことと言えば、空港にいる女性が全員美人だということくらいでしょうか(私は目の保養という概念を昔から否定しています)。
*嘘です

今まで、もっぱら乗り継ぎに係るノイズとして捨象してきた羽田空港という巨大施設。そこを「住む」という目線で探索する日々は、いままで味わったことのない種類の興奮をともなう経験でした。
気づけば私は全ターミナルの構造を完全に把握し、ターミナル間無料連絡バスのダイヤを憶え、館内放送で競技かるたをしていました。